HOMEその他のお知らせ > 創造都市研究科 経営評価報告書(概要)
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大阪市立大学創造都市研究科経営評価報告:社会貢献について
〈平成17年度〉

[概要]

大阪市立大学大学院創造都市研究科長
佐々木雅幸

この報告概要は、経営評価委員会から提出された「大阪市立大学大学院創造都市研究科経営評価委員会報告<平成17年度>」(平成18年7月24日提出)を、すでに公表している平成16年度の「経営評価報告」の概要と同じ形で、ここに公表するものである。本研究科は、引き続きこの評価を参考とし、着実な改善を実施する決意を表明するものである。

経営評価委員会
委員長 矢田 俊文 (北九州市立大学学長、元九州大学副学長)
委員 有田 典代 ((特活)関西国際交流団体協議会事務局長)
  高橋 敏朗 (大阪市監査、元大阪市立大学副学長)
  寺田 千代乃 ((株)アートコーポレーション取締役社長)
  西岡 郁夫 (モバイル・インターネットキャピタル株式会社代表取締役社長、元インテル・ジャパン会長)

はじめに

本委員会は、平成15年4月に設立された大阪市立大学創造都市研究科について、平成15年度および16年度の2年間の実績を対象に「経営評価」を行い、平成17年4月28日付けで「経営評価報告」を提出した。ここでは、設立間もないこともあって、評価の対象を「教育」に重点をおき、それとの関わりで「管理運営」に言及した。

本研究科は、平成17年度に夏季入試を導入するなど一連の改革を行ってきているが、これは本委員会の「経営評価報告」を積極的に受け止めて行われたものであり、「改革サイクル」が着実に稼動しつつあるものと高く評価することができる。

本年度は本研究科の「社会貢献」について、研究科から提出された資料に基づき評価を行う。

一.大学の「社会貢献」の定義と本研究科の位置づけ

もともと、大学は、研究を通じて人類の科学的認識を継承し発展すること、この科学的認識をベースに優れた人材を育成すること、この二つを使命とする社会的存在である。したがって、研究と教育の二つの使命を大学のキャンパスという空間のなかで着実に実行することが、大学の第一義的な「社会貢献」である。これを「社会貢献フェーズ0」としよう。

大学がこの二つの使命を疎かにして、キャンパス外で多様な活動をすることは、本末転倒である。しかし、他方で日常的な研究と教育とは別に、大学で蓄積された知識資源と教育技術をベースに、企業や市民、国や自治体などからの委託研究や共同研究、あるいは社会人の再教育など、付加的な「社会貢献」機能も期待されており、この分野での活動が急速に拡大している。

キャンパス内での本来的な研究と教育を「本源的社会貢献」、この枠をはみ出して行われる狭義の「社会貢献」のうち、委託研究や共同研究、社会人教育などキャンパス空間内で行われるものを「社会貢献のフェーズ1」、キャンパス空間の外で地域社会実践に参画するものを「社会貢献のフェーズ2」と位置づける。

大学の「社会貢献」を以上のように定義づけると、本研究科の「社会貢献」は、特有の位置づけが求められる。それは、社会人教育を研究科の最大の使命として創設されたために、「社会貢献フェーズ0」と「社会貢献フェーズ1」とがいわば重なり合っていることになる。本来キャンパス空間の外で行われる「社会貢献フェーズ2」の部分に焦点をあてて評価を行う。

二.研究・教育資源を活用した「地域貢献」(フェーズ2)

  1. 研究科全体の取組―重点研究「創造都市を創造する」
    キャンパス空間の外で行われる「社会貢献フェーズ2」を、仮に「地域貢献」として表現すると、本研究科の発足当初から最も精力的に取組まれている。なかでも学内外から注目されているのは、大学全体の重点研究である「創造都市を創造する」、および研究科の重点研究である「扇町創造村構想」である。
    前者については、関西大都市圏を活性化させるための戦略の一環として「人間的な規模で、独自の芸術文化を育て、革新的な経済基盤をもつ『創造都市』」を創造することを企図した研究であり、後者は、その核として、大阪市北区扇町という地域を「芸術など創造を職業とする第4次・第5次産業のインキュベーション」とする構想である。
    この研究は、平成15年度から開始され、すでに3年間の実績を誇っている。これまで、連携シンポジュウム、特別連続シンポジュウム、国際シンポジュウムなど多様な名目のシンポジュウムが8回開催され、また、いくつかの連携企画が実施され、平成17年度には「大阪市北区商業活性化協会との包括協定の締結」がなされるなど、活発な活動を進めている。
    本重点研究は、本研究科の「地域貢献」の目玉であるとともに、研究科全体としてチームで取組む「共同研究・教育」自身でもある。研究科全体が特定のテーマに収斂して共同研究・教育・地域貢献に取り組むことは、研究テーマの多様性、研究者の問題意識と研究方法の自由性を重視するわが国の国公立大学としては稀有のことであり、その成果が注目される。しかし、地域の活性化や地域インキュベーションの形成などは、茫漠としたテーマであり、また、明確な成果が現れるには長期間を必要とし、その成果を評価することは極めて困難である。とはいえ、ひとつのコンセプトのもとで研究者、社会人学生、地域住民、そして多くの学識経験者が協働して精力的に取組んでいくこと自体が高く評価されるべきであろう。
    また、そのなかで多くの実践的な裏づけをもった研究成果と社会人学生の成長がなされることも本プロジェクトの評価の対象であり。その点では、研究者や学生の研究論文、シンポジュウムや各種の活動に参画した市民の感想など、成果を確認できるものを確保することが求められる。
  2. 分野横断型の「地域貢献」
    本研究科全体として取り組んでいる「地域貢献」のもう一つの柱は、「複数の研究分野にまたがる学生が中心となって、教員が指導して行う共同研究」で、「地域や行政、民間の広い人材と交流し、共通の課題について徹底的に討論し、成果をまとめ、社会に還元する」活動である。平成16年度には、「ITテクノロジーにおける社会基盤整備への影響と可能性」、「中国企業の技術導入・開発戦略」など21件、平成17年度は、「患者図書サービスの最前線」、「Web―GISを利用した図書館情報の活用法」など19件にのぼっている。
    これらは、大阪府、大阪市、近畿整備局、近畿経済産業局、関経連、商工会議所などへの「創造都市比較研究」、「地域経済活性化とNPO」、「新産業育成」、「アートをテーマとする都市再生拠点」の具体的提案として結実している。前記の「創造都市の創造」がどちらかといえば第2専攻が核になっているなかで、本プロジェクトは、第1専攻,第3専攻を含む8分野がそれぞれの個性を出しながらの活動であり、8分野が一体となった「地域貢献」として積極的に評価できる。これらの提案がいかなる有効性をもったか、一歩踏み込んだ評価も今後の課題である。
  3. 各分野の「地域貢献」
    「地域貢献」の第三のカテゴリーとして各分野の取り組みがある。この点では、各分野の研究・教育の特性があり分野間の違いがある。
    最も活発なのは、都市政策分野である。都市経済政策分野と都市公共政策分野の共同での近畿整備局との神戸市長田区の震災復興支援NPOとの共同合宿研修会、都市公共政策分野主催のシンポジュウム、エクステンション講座、都市共生社会分野主催のDV,アカハラ、NPO,野宿生活者支援、コリアタウン、指定管理者制度、企業の社会的責任など多様な社会問題をテーマにしたシンポジュウムが相次いで実施されている。
    その他では、都市ビジネス専攻のシステム・ソリューション分野は、「情報化と評価研究プロジェクト」の産官学の共同研究、浜田市でのデジタルコンテンツの取り組への支援、都市情報学専攻の情報基盤分野と情報メディア分野共同の「都市情報学シンポジュウム」が開催されている。
    研究者個人がその研究業績を背景に、国、自治体、経済界、民間団体、NPOなどの審議会や研究会などの委員として参画することも、大学の「地域貢献」の重要な実績である。これらの研究者が、審議会や研究会に参画することによって、地域のどのような「貢献」したのか、研究者の役割について追跡することが求められる。

三.まとめ

  1. 本研究科の設立趣旨に鑑み、社会人として入学した学生が、満足した学生生活を送ったか、本学で学んだことが修了後社会人としての再出発において有意義であったか否かが、第一義的に問われる(「社会貢献」フェーズ0,1)。本研究科は「修了生アンケート」を実施しているが、学生の満足度にはばらつきが見られる。今後とも「修了生のアンケート」の充実によって、研究科全体および各分野での教育内容が、それぞれの「人材養成目標」と合致しているか否か絶えず自己点検していくことが不可欠である。
  2. 研究科のもつ研究・教育資源を活用した「キャンパス外」での「地域貢献」(「社会貢献」フェーズ2)について、本研究科は創立当初から積極的に取り組んできた。とくに、研究科全体のプロジェクトである「創造都市を創造する」は、高く評価されるべきであろう。また、そのなかで多くの実践的な裏づけをもった研究成果と社会人学生の成長がなされることも本プロジェクトに期待される。
    そのほか、教員が指導して行う分野横断型研究は、地域や行政、民間の広い人材と交流し、共通の課題について徹底的に討論し、成果をまとめ、社会に還元する活動として評価できる。また、分野独自の「地域貢献」や研究者個人の活動は、全体として活発に行われている。

なお、前年度の『評価報告』でも指摘したことであるが、教育の質や学生の満足度を高めるためには、大学法人化を契機に組織的な改善が求められる問題がある。その一つは、分野間の教員の充足状況の格差是正であり、いま一つは事務局の本格的な拡充である。

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